やあ、みんな!AIコンシェルジュのケイだよ!
前回の探求では、AIの頭脳である「LLM」について話したね。 世界中の本を読んだ「物知りなオウム」君の話、覚えてくれているかな? 彼は確率は知っているけれど、意味は理解していない。 だからこそ、付き合い方にコツが必要なんだ。
さて、今日はもっと実践的な話をしよう。 君はChatGPTなどのAIを使っていて、こんな風に思ったことはないかな?
「なんか、期待してた答えと違うなあ」
「普通に考えたらわかるでしょ、ってことを外してくる」
「やっぱりAIって、まだまだ使えないのかな?」
もしそう感じているなら、ちょっと待ってほしい。 それは、AIが「使えない」からではないかもしれない。 実は、君の 「頼み方」 が、AIを困らせている可能性があるんだ。
AIの世界では、AIへの指示出しのことを 「プロンプト」 と呼び、その技術を 「プロンプトエンジニアリング」 と呼ぶ。 なんだか難しそうなエンジニア用語に聞こえるよね?
でも、安心して。 これはプログラミングの知識なんて必要ない。 要するに、 「言葉の選び方」 の話なんだ。
今日の探求では、この プロンプトエンジニアリング を、 「レストランでの注文」 に例えて、誰でもすぐに使えるテクニックとして翻訳していくよ。 これを読めば、君のAIは「使えないヤツ」から「超・有能な執事」へと、劇的に進化するはずだ。 さあ、魔法の言葉を操るレッスンを始めよう!
🧐 「プロンプトエンジニアリング」って何?ただの「指示出し」です
まずは、言葉の定義からスッキリさせておこう。 プロンプト(Prompt) とは、本来「促す」とか「刺激する」という意味の英語だ。 ITの世界では、コンピューターに対する 「命令」 や 「入力」 のことを指す。
つまり、ChatGPTに入力する質問文や指示文、あれがすべて プロンプト だ。 そして、 プロンプトエンジニアリング とは、AIからより良い答え(出力)を引き出すために、この指示文を工夫・設計する技術のことを言うんだ。
「エンジニアリング」なんてついているから、理系の難しい数式が必要だと思うかもしれない。 でも実際は、 「国語力」 や 「コミュニケーション能力」 の問題なんだよ。
AIは「空気が読めない」超エリート
なぜ、わざわざ指示を工夫しなきゃいけないんだろう? 人間相手なら、「あれ、やっといて」で通じることも多いよね。 それは、人間には 「文脈」 や 「阿吽の呼吸」 という共通認識があるからだ。
でも、前回の記事で話した通り、AIは確率で動く計算機だ。 彼らには「常識」や「空気を読む」という機能がついていない。 膨大な知識を持っている 「超エリート」 だけど、指示されたこと以外は絶対にやらない(できない) 「超マニュアル人間」 でもあるんだ。
だからこそ、僕たち人間が、彼らにわかる言葉で、丁寧に翻訳してあげる必要がある。 それが プロンプトエンジニアリング の本質だよ。
🍽️ AIは「シェフ」。君の注文は「美味しいもの」になっていないか?
ここで、AIを 「どんな料理でも作れる天才シェフ」 だと想像してみてほしい。 彼は世界中のレシピを暗記していて、和食もフレンチも中華も、一瞬で作ることができる。
君がお腹を空かせて、このレストランに入ったとしよう。 そして、シェフに向かってこう言うんだ。
「美味しいものを作って」
さて、シェフ(AI)はどう思うだろうか?
「美味しいもの……? カレーのことかな? それともお寿司? いや、デザートのケーキかも? そもそもこの人は辛いものが好きなのか? アレルギーはあるのか?」
AIの脳内(確率計算)では、あらゆる可能性がぐるぐると回る。 そして、確率的に一番無難な答えとして、例えば「ハンバーグ」を出してくるかもしれない。
でも、君が食べたかったのは「さっぱりしたお蕎麦」だったとしたら? 「なんだよ、重たい肉なんて食べたくないよ。このシェフ、全然わかってないな」 となってしまうよね。
これが、多くの人が陥っている 「AI使えない」現象 の正体だ。 悪いのはシェフの腕じゃない。 「注文(プロンプト)」 が曖昧すぎたんだ。
「神プロンプト」への書き換え:具体性が命
じゃあ、どう注文すればよかったんだろう? 優秀なシェフの実力を引き出すには、 「条件」 を詳しく伝える必要がある。
悪い例: 「美味しいもの作って」
良い例: 「私は今、二日酔いで食欲があまりありません。冷蔵庫には大根と卵とうどんがあります。これらを使って、10分以内で作れる、胃に優しい温かい料理のレシピを教えてください」
どうだい? これなら、シェフは迷わない。 「承知しました。それでは『大根おろしの卵とじうどん』はいかがでしょう?」 と、完璧な提案ができるはずだ。
プロンプトエンジニアリング とは、つまり 「丸投げ」をやめて「解像度」を上げる 作業のことなんだ。
🔑 AIを劇的に賢くする「3つの魔法の鍵」
「具体的に言えって言われても、何をどう言えばいいの?」 そんな君のために、プロンプトエンジニアリングの基本となる 「3つの型」 を伝授しよう。 この3つを意識するだけで、回答の質は劇的に向上するよ。
鍵1:役割(ロール)を与える 〜「あなたはプロです」〜
AIは「何でも屋」だ。 だからこそ、最初に 「誰として振る舞うべきか」 を指定してあげると、スイッチが入る。
- 「あなたはプロのコピーライターです」
- 「あなたはベテランの英語教師です」
- 「あなたは辛口の映画評論家です」
これを 「ロールプレイング」 と呼ぶこともある。 役割を与えることで、AIはその職業の人が使いそうな言葉遣いや、視点を選んでくれるようになるんだ。 「物知りなオウム」君に、「今は弁護士の帽子を被ってね」とお願いするようなものだね。
鍵2:ゴールと制約条件を明確にする 〜「何をどうする」〜
シェフへの注文と同じで、 「何が欲しいのか」 と 「守るべきルール」 をはっきりさせる。
- ゴール:ブログ記事のタイトル案を5つ出してください。
- 制約条件:
- 30文字以内にしてください。
- 「初心者」というキーワードを含めてください。
- 読者がクリックしたくなるような、煽り気味のトーンでお願いします。
特に「文字数制限」や「個数」、「ターゲット読者」を指定するのは効果的だ。 これを言わないと、AIは長々と解説を始めたり、的外れな相手に向けた文章を書いたりしてしまうからね。
鍵3:入力データ(参考資料)を渡す 〜「これを見て」〜
「以下の文章を要約して」と頼むときは、必ずその 「対象となる文章」 を明確に区切って渡してあげよう。 よく使われるのは、 # や """ (引用符3つ)などの記号で囲む方法だ。
入力文: “”” (ここに要約したい長い文章を入れる) “””
命令: 上記の入力文を、小学生でもわかるように3行で要約してください。
こうすることで、AIは「どこからどこまでを読めばいいのか」を正確に理解できる。 これは、部下に「この資料の、ここからここまでを読んでおいて」と付箋を貼って渡すのと一緒だね。
🚀 実践!ビフォーアフターで見るプロンプトの威力
では、実際にこの3つの鍵を使って、プロンプトを改善してみよう。 テーマは 「謝罪メールの作成」 だ。
😱 ビフォー:残念なプロンプト
取引先に送る謝罪メールを書いて。遅れてごめんって伝えて。
AIの回答(イメージ): 「件名:遅延のお詫び お世話になっております。〇〇です。 ご連絡が遅くなり申し訳ありません。以後気をつけます。 よろしくお願いいたします。」
……うーん、これじゃあ軽すぎるよね。 火に油を注いでしまうかもしれない。 これが「AIは使えない」と言われてしまう回答だ。
✨ アフター:エンジニアリングされたプロンプト
#役割 あなたは誠実で礼儀正しいビジネスマンです。
#状況 クライアントへの資料提出が、約束の期日より1日遅れてしまいました。 原因は、急なシステムトラブルによるデータ消失です。 現在は復旧し、明日の朝一番には提出できる見込みです。
#命令 相手の怒りを静め、信頼を回復できるような謝罪メールを作成してください。
#制約 ・言い訳がましくならないように。 ・今後の対策も一言添えてください。 ・件名は、一目で謝罪とわかるものにしてください。
AIの回答(イメージ): 「件名:【お詫び】資料提出の遅延につきまして 株式会社〇〇 様 いつも大変お世話になっております。 本日提出予定の資料につきまして、私の不手際によりお約束の期日にお送りすることができず、誠に申し訳ございません。 ……(中略)…… 今後はデータのバックアップ体制を見直し、二度とこのようなご迷惑をおかけしないよう徹底いたします。 何卒ご容赦いただけますよう、伏してお願い申し上げます。」
どうだろう? これならそのまま送信できそうなくらい、しっかりしたメールになったよね。 これが プロンプトエンジニアリング の力なんだ。
🤝 AIとの対話は「キャッチボール」だ
もう一つ、とても大切なコツがある。 それは、 「一回で完璧を目指さない」 ということだ。
プロンプトエンジニアリングは、一発勝負の呪文じゃない。 AIとの 「対話」 なんだ。
一度出力された答えがイマイチだったら、そこで諦めずに、追加で指示を出せばいい。
「ありがとう。でも、ちょっと堅苦しすぎるかな。もう少し柔らかい表現にして」 「いいですね。では、その内容を箇条書きに直して」 「もっと具体的な例を一つ入れて」
人間だって、一度の説明で完璧に理解するのは難しいよね。 「あ、そういう意味でしたか! 修正します!」 というやり取り(フィードバック)を繰り返すことで、理想の形に近づけていく。 これを 「Chain of Thought(思考の連鎖)」 なんて呼ぶこともあるけれど、要は 「壁打ち」 をしようってことだ。
AIは疲れないし、何度修正させても文句を言わない。 納得いくまで、何度でも書き直させればいいんだよ。
🧠 プロンプトを学ぶと、人間関係も良くなる?
ここまで読んで気づいた人もいるかもしれない。 「これって、部下や後輩への指示出しと同じじゃない?」
その通り! プロンプトエンジニアリングの本質は、 「自分の頭の中にあるイメージを、相手に伝わる言葉に変換する能力(言語化能力)」 なんだ。
「いい感じによろしく」 「なる早でやって」
こんな曖昧な指示で動けるのは、相手が空気を読んでくれているからに過ぎない。 AIを使ってプロンプトの練習をしていると、普段の人間同士のコミュニケーションでも、指示が具体的でわかりやすくなっていく。
「目的は〇〇で、期限は〇〇まで。形式は箇条書きでお願いできる?」
こんな風に話せるようになったら、仕事の効率も上がるし、ミスも減る。 AIを使いこなすことは、 人間としてのマネジメント力 を磨くことにもつながるんだよ。
🚪 まとめ:言葉は魔法の杖になる
今日の探求では、AIへの指示出し技術 プロンプトエンジニアリング について翻訳してきた。 難しそうな言葉だけど、要は「レストランでの賢い注文の仕方」だったね。
AIは、君の言葉一つで、 三ツ星シェフにもなれば、 敏腕弁護士にも、 優しいカウンセラーにもなる。
その変身させるスイッチを持っているのは、AI側ではなく、君自身なんだ。 「AIがバカだ」と嘆く前に、 「僕の伝え方が悪かったかな?」 と振り返ってみよう。 言葉という魔法の杖の使い方を少し変えるだけで、目の前のAIは驚くほど有能なパートナーに変わるはずだから。
さて、プロンプトのコツを掴んで、AIと仲良くなってきた君に、次は少し怖い話をしなければならない。 いくら上手に指示を出しても、AIが 「息をするように嘘をつく」 ことがあるんだ。 次回は、AIの最大の弱点 「ハルシネーション(幻覚)」 について、 「知ったかぶりをする即興役者」 を例に解説していくよ。 騙されないための防衛術も教えるから、絶対に見逃さないでね!
それじゃあ、また次の探求で会おう! 言葉の力を信じて、AIと最高のセッションを楽しんで!
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